放射線の年間許容線量は100ミリシーベルトです。10年前の原発事故のあと、浪江町のある地区では1日でこれを超えるような線量が計測されていました。

計測に来たひとたちは防護服を着ていました。計測値は住民には知らされませんでした。放射線の拡散を予測した政府のシミュレーションの結果も公表されませんでした。「由(よ)らしむべし、知らしむべからず」は、情報を使ってひとを操作する閉じた社会の原理です。

警報や避難情報もそういう社会に由来しています。集団が、指示を待ち指示に従って行動することが期待されている、上意下達の仕組みです。気象情報を含む防災情報は隅から隅までオープンです。警報や避難情報の発表の有無にかかわらず、自分の行動は自分で情報を利用して決められます。

わたしたちは、「由らしむべし、知らしむべからず」に慣れてしまっていて、情報がオープンな社会に転換する用意が、十分ではないのかもしれません。アルドセイフティは、この転換を支援します。自分の浴びている放射線量を知らせてもらえないような社会に逆戻りしないためにも。

福島民報:【震災・原発事故10年ルポ】古里遠くなるのか… 浪江町  学びやとの別れ実感