2018年の西日本豪雨の犠牲者は、死者・不明あわせて240人を超えました。近年にないことでした。

雨の量と範囲でそれに匹敵といわれる今回の長雨の場合は、そこまで犠牲者の数は多くならないようです。

洪水など災害を引き起こす自然現象をハザードといいますが、同じ規模のハザードがおきても被害の大小は別のことです。被害の大小を決めるのは社会的要因で、脆弱性とよばれています。脆弱性が小さいと被害は小さい、というふうに使われます。

3年前に比べて脆弱性が小さくなってきたのかもしれません。しかし、人命被害という点でそういえるとしても、経済被害つまり、家屋や家財、事業施設や設備の被害に対する脆弱性については、また別の話です。

損害保険は火災保険に地震保険が含まれる場合がありますが、災害に対するリスク度合いに準じた保険制度を確立して行くべきと考えています。土地の評価額が下がり大きな反対が起きるかも知れません。しかし、自然破壊に伴う気候変動配下では、平常時の利便性と経済性に視点を置いたこれまでの都市計画には無理があります。

災害が起きたら国や地方自治体からの支援があることを前提にした社会から移行する必要があります。人間の知恵となる科学技術(特にIT)が発展し、都市と都市以外での生活や仕事の利便性と経済性の差異が縮まります。近代の都市化に伴って過疎化が進んだ、故人の知恵で住み続けてきた、それらの土地が見直され、自然と共存した新しい社会が目に見えます。

中日新聞Web 犬山市の犬山城城下町にあるカフェ、本町茶寮。築百年の古民家を改装した店内で浴衣姿の女性が声を上げた。